ソフトウェア業界の現状
- 我国のソフトウェア・プロダクト・ベンダーは世界市場に通用する製品開発、販売で米国はもとより、欧州やイスラエルにも大きな遅れをとっています。
- 一方、受託開発や人材派遣に過度に依存してきた多くのSI会社は、厳しい経済環境のなかでの顧客からの受託費削減圧力や、低い人件費と急上昇中の技術力を背景にしたアジア系競合の追い上げに疲弊し始めています。
- そして、双方とも需要が飽和した国内市場を主対象としているため、成長し続けることが極めて困難になっています。
- 更に、わが国の中小規模ソフトウェア・プロダクト・ベンダーは、先行R&D投資に必要な資金も、優秀な人材の確保も困難なため、多くの場合早い段階で成長が頭打ちになってしまいます。
- 以上の状況から、我国のソフトウェア会社が単独で存続、成長を続けられる可能性はかなり低いと言わざるを得ず、国内外の他社とのM&Aをはじめとする資本提携と業務提携を中軸にした成長戦略を志向することが必要です。
産業構造問題
- 日本のソフトウェア業界に端的に顕れている多層下請け構造によるスクラッチ開発は、先進諸国では類を見ないガラパゴス世界です。
- 上記のソフトウェア業界の問題の多くがこのガラパゴス構造に起因しており、中期的にはこれを脱却してフラットでプロダクト志向や上流工程志向の新しい業界構造に脱皮できない限り、業界は急速に衰退するでしょう。
- 各企業は、出来るだけ早く大胆なビジネスモデルの改革と、その実現に必要な経営マインドセットの変革、新技術確保・蓄積への大胆な投資、新しいビジネスモデルへの投資が必要になります。
- 中長期的な生き残りと成長を担保するのは、このような変革と投資が可能な企業になるための合理的な買収、資本業務提携、合併などの再編です。
可能な成長戦略例
[中、大規模のSI会社]
- 同業他社の買収は最も直接的な成長手段であり、規模の経済も達成出来ます。
- 独自技術を有するプロダクト・ベンダーの買収や、メジャーな出資と組み合わせた事業提携により、コア・テクノロジー保有による競争力強化を狙うことも極めて重要な戦略です。
[中小SI会社]
- より規模の大きな同業他社の傘下に入ることにより、経営の安定化を図ることは最も現実的な戦略です。
- ある程度良い利益体質を保てている会社であれば、今のうちに独自技術を有する中小規模プロダクト・ベンダーの買収や合併等によって、プロダクト・ベンダーへの脱皮を図ることも有望な選択肢です。
[中小プロダクト・ベンダー]
- 中、大規模のSI会社の傘下に入ることにより、経営の安定化を図るとともに、その会社の技術部門の中核になることは極めて現実的な戦略です。
- 同業他社との合併、統合により、事業規模と利益体質を向上させてカテゴリー・キラー化を志向することも、プロダクト・ベンダーとしての成長戦略としては最も有望な選択肢です。
日本にこそ必要なM&A
- 日本の経営者には、特に自らが売り手になる場合、M&Aに対してネガティヴなイメージを持たれる方が少なくありません。
- しかし、M&Aは買い手にとっては勿論、売り手にとっても「更なる飛躍のための一歩」であり、決して「身売り」といった捉え方をするべきではありません。
- 更に、経営者には、海外、特に中国等のアジアの企業による買収の受け入れに抵抗感を覚える方も少なくありません。
- しかし、海外企業も含めたM&Aは日本にこそ必須な成長のための前向きの手段なのです。それは、通常のM&Aの効用のほかに日本には次のような状況があるからです。
- 多くの日本のソフトウェア会社は狭い国内市場をターゲットにしているため、企業規模が小さな段階で過当競争に陥り、健全な成長が出来ない
→ カテゴリー・キラー化のためのM&A
→ 海外マーケット確保のためのM&A - 更に、日本ではポスト・スタートアップ段階の企業へのR&D資金投資環境が脆弱なため、早い段階で成長の踊り場を迎えてしまう
→ 再成長のためのM&A - 日本は人材の流動性が極めて低く、成長に必要な即戦力のリクルートが難しい
→ 人材確保のためのM&A
実りあるマッチングとは
- 上記のようなM&Aや出資・事業提携による成長戦略が最も効果を発揮するための第一歩は、最適の相手企業を見つけ、アプローチすることです。
- 「最適な相手」とは、事業的、技術戦略的に大きなシナジー効果が期待出来、また企業文化の親和性が高い企業です。
- また、時間と労力を消耗するM&Aでは、出来るだけ短い期間で、M&A後に感情面でのしこりを残すことなく友好的に事を進めることも極めて重要です。
弊社の貢献
- 弊社のメンバーは長年、IT・ソフトウェア業界で開発と事業経営に携わっており、IT・ソフトウェア会社の技術と事業双方に対する深い理解に基づいて、貴社の成長戦略に最適の提携先を見つけることが出来ます。
- また、多くの会社の企業文化にも通じており、これも加味した上で候補先の選択をいたします。
- 更に、大企業からベンチャー企業までの多くのIT・ソフトウェア会社の経営陣との個人レベルでの信頼関係とネットワークを有しているため、提携先候補企業へのCold callやボトムアップ・アプローチではなく、意思決定権者からのトップダウン・アプローチによる迅速、効率的な検討・交渉を進めることが可能です。
- 弊社のメンバーは、投資に関する経験も長く、弊社パートナー企業との連携も活用しながらワンストップでのM&Aアドバイザリー・サービスの提供が可能です。
- まとめて言えば、弊社はIT・ソフトウェア業界とファイナンシングの双方に豊富な経験を有する、我国では希少なM&Aアドバイザリー会社です。
- 以上に加えて、弊社は通常のM&Aアドバイザリー会社が提供できない以下のようなサービスも提供いたします。
1) 競争力強化戦略の立案
2) そのような企業競争力強化、再活性化のための資金確保
3) 経営陣及びトップ技術陣のリクルーティング
4) 顧客企業や事業提携先候補の紹介
5) その他